時は天下泰平江戸時代の中期。
町人文化が栄華を極め、
町は活気にあふれていた。
しかし、光ある所影もまたある。
町には様々な欲望が渦巻き、
あちこちで事件も起きた。
そんな時、
「困った時の本頼み、その本屋には
トラブルを解決してくれる連中がいる」
という噂が、町人の間で
ささやかれるようになる。
その本屋とは、蔦屋重三郎の店。
今夜も一人、彼の元を訪ねてくる。
その男は、泣く子も黙る
歌舞伎の大スター大谷鬼次だった。
大谷は、蔦屋に会うなりこう切り出す。
「俺を殺してくれないか」
おもしろ好きの蔦屋は、
男の話に耳を傾ける…。